新しいピッチャーの分業制 稲葉GL、新庄ビッグボスの野球への期待

日本ハムが稲葉GL、新庄「ビッグボス」監督体制になりさまざまな新しい試みをしていて、今シーズンどうなっていくのか追いかけたいという気持ちにさせられている。

ここ10年ぐらい、セイバーメトリクスの導入によって、これまで慣習的に行われいた戦術の検証が進み、取捨選択されるようになってきた。個人的にも疑問に思う戦術がいろいろあったので、それが実証的に棄却されることで得心がいったことが多い。

代表的なところでは打順がある。古典的な考え方としては、出塁率が高く足が速い選手を一番に置き、二番にはバントがうまいつなぎの選手、三番は打率が高い中距離バッター、四番が長打力がある最強打者、五番は勝負強いバッター。

しかし、シンプルに考えれば、打順が早いバッターほど多くの打席数が回ってくるので、打てる順に並べるのが良いように思う。初回以外は一番バッターが先頭打者になるとは限らないし、一番バッターが先頭打者として出塁しなければ、二番につなぎの選手を置く意味がない。

実際にはシミュレーションにより二番に最強打者を置くのが望ましいという研究結果が出ており、この打順の考え方はMLBを中心としてかなり定着してきた。

しかし、投手起用については、打順ほどには検証されていないように見える。セイバーメトリクス以前から、先発投手が100球投げ、そこからはリリーフ投手が繋ぎ、勝てそうな試合では最強のリリーフ投手がクローザーとして起用されるという方法である。これは理想的な投手起用法なのだろうか。

シンプルに考えれば、投手は二巡目に入ると打たれやすくなるので、一巡したら継投するのが良いのではないか。先発とリリーフの区別なく、1試合4〜5人の投手で継投する。より勝つ確率が高まった状態で能力の高いピッチャーを使いたいと考えれば終盤に能力の高いピッチャーを配置するという考え方もあるし、逆に早い段階で点差がついてしまうと後半で逆転することが難しくなるので、前半に能力の高いピッチャーを使うという考え方もあるだろう。このあたりはシミュレーションによる研究を見てみたい。

ここ数シーズン、先発投手をリリーフと別枠で扱わないスターターという起用法が見られるようになった。まだ最適化まで至っていないように見える。

日本ハムの開幕2戦の投手起用を見ていると、まさに打者一巡で交代させている。弱者の戦略で、既成概念にこだわらない起用法を試してくれそうで、大いに期待している。

ニッカン式スコア ソフトバンク対日本ハム - プロ野球 : 日刊スポーツ

スターターを始めたのは、タンパベイ・レイズである。「マネー・ボール」で限られた予算のなかでセイバーメトリクスを活用するチームとしてオークランド・アスレチックスが有名になったが、現在、このタイプのチームとしてはタンパベイ・レイズが最先端だろう。日本ハムも限られた予算で、しかし、斬新な戦術、戦法を試していくチームとなってほしい。