YMOの成分構成

最近、はっぴいえんどの「風街ろまん」とか”Hosono House”とかTin Pan Alleyの「キャラメルママ」とか、YMO以前の細野晴臣を聴いている。
ソロ・アルバムだからあたりまえなんだけど、"Hosono House"が細野さん(と呼びたくなる)の濃度が高くて気に入っている。"Hosono House"に入っている「恋は桃色」の歌詞を英語版ウェブログでの英訳をしてみたので、この頃の細野さんに興味が湧いたらのぞいてみてください(http://goo.gl/tOBKX) 。
「風街ろまん」は松本隆の歌詞がいいし、「キャラメルママ」は腕利きのミュージシャンが集まっていてとても洗練された音楽になっているけれど、”Hosono House”の手作り感覚の素朴さが、ポール・マッカートニーのファースト・ソロ・アルバムの” McCartney”みたいで、逆にそこも気に入っている。
“Maybe I'm Amazed” from “McCartney” by Paul McCartney

稲本(id:yinamoto)がたまに人間関係をビートルズの四人に例えている(id:yinamoto:20110211 id:yinamoto:20101217)けれど、それに倣っていえば、YMOでは細野さんがポール・マッカートニーで、坂本教授がジョン・レノン高橋幸宏ジョージ・ハリソンリンゴ・スターを合わせた存在というところだろうか(高橋幸宏はジョージ+リンゴより重要な存在だったかも、というと、ジョージに失礼なのだろうか、高橋幸宏に失礼なのだろうか)。
YMOはマニアが多いから、研究している人は研究しているんだろうけれど、YMOの成分は、どこまでが細野さんなのか、どこまでが坂本教授なのか、高橋幸宏の貢献はどの程度なのか少々気になった。
「キャラメルママ」には、”Yellow Magic Carnival”という曲があって、YMO似非東洋趣味というか、オリエンタリズムのセルフパロディという風味がたっぷりある。このあたりがYMOの原点なのかなと思う。この曲では、シンセサイザーではなく、マリンバを使っているけれど。
“Yellow Magic Carnival” Tin Pan Alley

けれど、YMOのデビューアルバム発表直前に発表された坂本教授の「千のナイフ」もYMO的だし、十分似非東洋趣味がある。この段階では、教授も細野さんの影響を受けていたはずだから、YMO的風味の起源は細野さんなのかもしれない。それとも、細野さんと坂本教授が同時発生的に同じ方向を向いたからこそYMOを結成したということなのだろうか。
“Thousand Knives”「千のナイフYMO

そして、この「中国女」の作曲は高橋幸宏。もっとも、プロデュースしたのは細野さんなんだろうけれど。
“La Femme Chinoise”「中国女」YMO

それはそれとして、告白すると、実はYMO、特に坂本教授にはあまり馴染めないものを感じていたし、CDで聴いているとすぐ飽きてしまっていた。けれども、この記事を書くためにいくつかの曲のライブ演奏をYouTubeで聴いていると、さすがに凄腕のミュージシャンが集まっているだけあって、YMOってかっこよかったんだとはじめて思った。いや、いまさらなんですが。
千のナイフ」では、渡辺香津美がバリバリにギターソロを弾いているし、「中国女」では坂本教授がニュアンスを付けてキーボードを弾いている。あえてニュアンスを消して、機械的に演奏するのがYMOだと思っていたから少々意外だった。
まあ、でも、全体としてはかっこよくライブをしようと思えばいくらでもできるけど、あえてその方向に行かなかったというのがYMO美学ということなんだろうけど。その意味では、ギターソロを弾きまくってる渡辺香津美はやっぱりYMOでは異質な感じがする。
もっとも、続けて聴いていたら結局は飽きたけど。
おまけ
やっぱり、YMOの頃より、その以前の細野さんとその後の細野さんの方が好きかな。YMO以前(はっぴいえんど)に作った曲を、最近演奏している細野さんの画像をつけておきます。
暗闇坂むささび変化」細野晴臣

風街ろまん

風街ろまん

HOSONO HOUSE

HOSONO HOUSE

キャラメルママ

キャラメルママ

Mccartney

Mccartney

千のナイフ

千のナイフ

イエロー・マジック・オーケストラ

イエロー・マジック・オーケストラ