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「自由の性質」と「政治におけるリーダーシップへの要望」

雑感 読書

これまでドラッカーは読んだことがなかった。読まずになんだかリーダーシップに関するノウハウ集を書いた人という印象を勝手に持っていた。
今、"The Daily Drucker"という本をKindleでぽつぽつ読んでいる。1月1日から12月31日まで毎日一編づつドラッカーの著作からの引用を読むという趣向である。一日分は数分で読める分量で、また、文章もわかりやすく英語を読むの練習にもちょうどいいと思う。
実際に読んでみると、ノウハウというより、もう少し深いマネジメントの普遍的な原理を求めている人ということがわかった。逆に、普遍的な原理なだけに、応用するには読者が原理から適用の間を埋めるために独自の考察を求められる。また、基本的な思想はアメリカ的な民主主義、自由市場に立脚しているから、日本の人が読むとその点で違和感を感じないのだろうかとやや気になった。
今はまだ2月のところまでしか読んでいないけれど、興味深かったダイアリーを翻訳しようと思う。

2月13日 自由の性質 "The Nature of Freedom"
自由は楽しいものではない。個人の幸福でもないし、安全や平和や進歩と同じものではない。自由とは責任のある選択のことである。自由は権利というより責務である。真の自由はなにものからの自由ではなく、認可である。自由とは、なにかをなすかなさないか、ある方法で実行するか別の方法で実行するか、ある信念を抱くか反対の信念を抱くかという選択である。それは決して「楽しい」ものではない。人間に負わされた最も重い責務である。自分自身の行動のみならず社会の行動を決定し、その両者に対して責任を負うことである。

Freedom is not fun. It is not the same as individual happiness, nor is it security or peace or progress. It is a responsible choice. Freedom is not so much a right as a duty. Real freedom is not freedom from something; that would be license. It is freedom to choose between doing or not doing something, to act one way or another, to hold one belief or the opposite. It is not "fun" but the heaviest burden laid on man: to decide his own individual conduct as well as the conduct of society and to be responsible for both decisions.

実にアメリカ的な民主主義観だと思う。ドラッカーの根底にあるこのような思想を理解した上で、彼の言葉が理解されているのだろうか。

2月14日 政治におけるリーダーシップへの要望 "Demands on Political Leadership"
今日、カリスマに注目が集まっている。カリスマ的なリーダーに関する膨大な議論がなされており、膨大な書籍が書かれている。しかし、カリスマに対する欲求は、政治的な死の願望である。20世紀ほどカリスマ的なリーダーが現れた世紀はないし、二十世紀の四人の巨人ほど害悪を与えたリーダーはいない。スターリンムッソリーニヒトラー毛沢東。カリスマが問題なのではない。リーダーが正しい方向を示し、指導を誤らないことが問題である。20世紀の建設的な達成は、カリスマ的ではない人々によってなされたことである。第二次世界大戦において連合国の勝利に導いた二人の軍人、ドワイト・アイゼンハワージョージ・マーシャルは、きわめて規律が高く、きわめて能力が高く、死ぬほど退屈だった。
おそらく、新しい大衆であるナレッジ・ワーカーに希望やオプティミズをもたらすものは古い政治ではない。証明された能力こそが希望やオプティミズムをもたらすのである。

Charisma is "hot" today. There is an enormous amount of talk about it, and an enormous number of books are written on the charismatic leader. But, the desire for charisma is a political death wish. No century has seen more leaders with more charisma than the twentieth century, and never have political leaders done greater damage than the four giant leaders done greater damage than Stalin, Mussolini, Hitler, and Mao. What matters is not charisma. What matters is whether the leader leads in the right direction or misleads. The constructive achievements of the twentieth century were the work of completely uncharismatic people. The two military men who guided the Allies to victory in World War II were Dwight Eisenhower and George Marshall. Both were highly disciplined, highly competent, and deadly dull.
Perhaps the greatest cause for hope, for optimism is that to the new majority, the knowledge workers, the old politics make no sense at all. But proven competence does.

私もこれにはきわめて共感する。難局にあっても、だれかカリスマ的なリーダーが夢のような解決をもたらすことはないと思っている。地道なマネジメントの積み上げによる解決しかないと思っている。

The Daily Drucker

The Daily Drucker