雑感

ドナルド・トランプの対日政策

定期的にブログを更新することにしたことをきっかけとして、「はてなダイアリー」から「はてなブログ」に移行しみた。さすがに同じ会社のサービスだから移行はかんたんでトラブルもなかったけれど、画面は多少なりとも読みやすくなっただろうか。 さて、ここ…

40歳代から50歳代へ

最近はblogから離れていたけれど、久しぶりに書いてみようという気持ちになった。以前のように毎日書くということはないけれど、週に1回ぐらい更新できればよいかな、と思う。 しばらく前、「夏目漱石記念施設整備基金」(http://www.city.shinjuku.lg.jp/ka…

「わたし」を見失わないために:ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」を読んで

ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」を読んだ。 心理学者である著者は、第二次世界大戦中、ナチスによる強制収容所に収容された。この本は、その経験を心理学の立場から記録しようとしたものである。 強制収容所での生活は、苦痛と飢餓と暴力と死に満ちて…

気持ちのいい音:細野晴臣「分福茶釜」を読む

図書館から借りてきた細野晴臣「分福茶釜」を読んだ。 細野さんの音楽はもちろん大好きだけど、彼の言葉もなかなか味わい深い。まずは、気になった箇所をいくつか引用したい。 これは誇りでもなんでもなくって、むしろ劣等感なんだけど―自己表現がヒネくれて…

DataからSoccer日本代表について考えてみる:「サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか」を読む

クリス・アンダーセン(Chris Anderson)、デビット・サリー(David Sally)「サッカーデータ革命 ロングボールは時代遅れか」("The Number Game Why Everything You Know About Football Is Wrong")を読んだ。 SportsへのData Analysisの適用を扱った本としては…

減量節制生活中

今、減量のため節制生活をしている。 私の身長は166cmだが、体重はここ20数年間、60kgから64kgの間で上下している。 何も気をつけずに生活していると体重が増えてしまう。64kg近くなると脂肪のきぐるみを一枚着ているような感覚になり、あまり気分がよくない…

多面的な観点から歴史を見直す:加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」を読み終わった。ここ数年間で読んだもののうち、もっとも目から鱗が落ちた本だった。 最近、日本の歴史に関する本を読みながら、あまりにも日本の為政者の観点に偏っていると思うことが多かった。 例えば、…

自身自力の研究:福沢諭吉と緒方洪庵塾

しばらく前「高橋是清自伝」を読み、これがおもしろかったので(id:yagian:20140602:1401656704, id:yagian:20140603:1401750056)、幕末から明治にかけて生きた人物の自伝の代表格である「福翁自伝」を久しぶりに読み返してみた。 さまざまな視点から読むこと…

これからが本番:FIFA World Cup

目が覚めてTVをつけたら、ちょうどBrazil対Chileの試合のpenalty shootoutが始まるところだった。 決勝までの組み合わせを見て、Brazilにとっても簡単な試合はひとつもないな、と思っていた。実際、最初からぎりぎりの勝負になった。 日本のgroup league敗退…

dataでみるTiki-Taka styleの終焉と日本soccer

今回のFIFA World CupのGroup Leagueはおもしろい試合が多いように思う。 24試合(Italy対Costa Rica戦まで)のうち、0対0の引き分けは3試合だけで、引き分け狙いの消極的な試合が少なく、積極的に得点を取りに行っているように思う。このwebsiteで全試合の結…

懸命さ、必死さ:日本とUSAのFIFA World Cup初戦

早寝早起きが習慣になっているので、今回のWorld CupのTV観戦にはつごうがいい。 group league初戦がおおむね一巡したところだが、引き分けが少なく積極的に得点を取りに行く試合が多くて退屈しない。Spain対Netherlandsのような番狂わせもあった。前回のWor…

原典を読むのがいちばん楽しい:Marco Polo「東方見聞録」を読む

岩波書店から刊行されている月村辰雄・久保田勝一訳のMarco Polo「東方見聞録」を読んだ。 「百聞は一見に如かず」というべきか、やはり原典を読むに如くはない。もちろん、Franchは読めないので、ほんとうの意味での原典は読めないので和訳だけれども。 「…

相場と戦争:高橋是清自伝(2)

前回のentry(id:yagian:20140602:1401656704)に引き続いて「高橋是清自伝」について書こうと思う。 高橋是清の生涯で一般的に有名なできごとは、日露戦争中の外債の募集、金輸出再禁止などのいわゆる「高橋財政」、2.26事件での暗殺だろうか。「高橋是清自伝…

波瀾万丈な時代の明るさ:高橋是清自伝

高橋是清「随想録」を読み、率直でおもしろいことを書く人だなという印象を受けたので、「高橋是清自伝(上)(下)」を読んでみた。 特に波瀾万丈な前半生について語られている上巻がおもしろい。近代日本人の自伝としては「福翁自伝」に匹敵する興味深さだと思…

割り切りの美学:Kindle 4th Generation

最近、洋書はたいていKindle(http://goo.gl/fWQIWK)で読んでいる。 Amazon.co.jpがKindle対応をはじめるという噂がでてから実際に開始されるまでにかなりの時間があったように記憶している。なかなか発売されないことにじれてしまい、Amazon.comからKindle 4…

教養と芸術:細野さんと漱石先生

最近、細野晴臣の音楽にはまっている。 特に、トロピカル三部作と呼ばれるYMO結成前、1970年代中頃に発表されたアルバム「トロピカル・ダンディ」「泰安洋行」「はらいそ」を繰り返し聴いている。 発表当時これらのalbumの売れ行きが悪く、細野さんは「なん…

英語を習得するということ:川崎宗則の事例

川崎宗則がMLBに挑戦すると聞いた時、正直難しいと思った。 日本人内野手はMLBでは通用しないことが多い。power不足のため、battingではひっぱって強い打球を打つことができない、shortstopの場合は苦しい姿勢から強い送球ができないことが致命的になること…

口蓋扁桃摘出術体験記

先週の月曜日に「口蓋扁桃摘出術」という手術を受けてきた。 ここ数年、扁桃炎が慢性化しており、たびたび扁桃腺が炎症を起こし、熱発するようになっていた。医師からの勧めもあり、その原因となっていた扁桃を切り取る手術を受けたのである。 手術を受ける…

日本のintellectualsはもっと英語で発言しよう

日本の英語教育をめぐる議論を読んでいると、どうにも気持ち悪い。 英語教育を改善すべきとの提案は善意から発しているのだとは思う。しかし、そのような議論をしているのは英語の習得に時間をかけることができたintellectualsであって、結局のところ「蒙昧…

Inca、Aztecの皇帝と日本の天皇

増田義郎「物語ラテン・アメリカの歴史 未完の大陸」を読んだ。 増田先生は「あとがき」で「ラテン・アメリカは、おそらく音楽を通じてもっともよく日本にその名を知られているだろう。しかし、それ以外の面では、ほとんど未紹介と言っていい。」と書いてい…

学校における英語教育のあり方について

日本人の英語力が低くglobalizationへの対応について懸念する声がある。そして、英語力の低さの原因を学校における英語教育にあると考え、そのあり方が批判されている。 確かに日本の学校における英語教育には多くの問題があり改善の余地は大きいけれど、学…

仮設住宅の凍える冬

日本語ではこの気持をうまく表現できない気がして英語で書いたけれど、書き上げてから、やっぱり日本語でも伝えたいと思い、和訳してみたら、やっぱり翻訳調の日本語になってしまった。 "A Freezing Winter in Temporary Housing" ( http://yagian.blogspot.…

透明な好い心地

夏目漱石の随筆「硝子戸の中」に、旧友について書かれた一節のなかに、こんなことが書いてある。 私が高等学校にいた頃、比較的親しく交際った友達の中にOという人がいた。その時分から余り多くの朋友を持たなかった私には、自然Oと往来を繁くするような傾向…

歳を取るのは楽しい:「青砥稿花紅彩画(白浪五人男)」の感想(1)

先週の日曜日、歌舞伎座で「青砥稿花紅彩画(白浪五人男)」を見た。いろいろな意味で堪能した。 会場で買った筋書き(「パンフレット」)に、過去に上演した白浪五人男の配役一覧表がついていて、私が以前に見た白浪五人男は昭和63年5月の歌舞伎座での公演…

「建国記念の日」にふさわしい日はいつか

「建国記念の日 悠久の歴史に思い馳せよ」という産経新聞の社説(http://goo.gl/Sxou7c)を読み、あいかわらず産経新聞の主張は「右翼」の観点からみても浅いと思った。 このblogで再三繰り返しているように、私は佐幕派であり共和主義者だから産経新聞のよう…

「純文学」と「エンターテイメント」:佐村河内守名義の新垣隆と新垣隆名義の新垣隆

佐村河内守事件について音楽関係者からいくつかの論評がでてきた。 伊藤乾「偽ベートーベン事件の論評は間違いだらけ」(http://goo.gl/0S6Pxs) 森下唯「より正しい物語を得た音楽はより幸せである〜佐村河内守(新垣隆)騒動について〜」(http://goo.gl/vt3w…

「牛は超然として押していくのです。」

おそらく漱石の書簡のなかでも最も有名なもののひとつだから、改めて私が引用するまでもないのだけれども、書き写してみたいので引用しようと思う。 漱石没年の1916年、当時まさに新進気鋭の作家だった芥川龍之介、久米正雄に送られた書簡である。 拝啓。『…

人間の弱さについて:佐村河内守と藤村新一の事例

佐村河内守の代作者だったという新垣隆の記者会見があった。(http://goo.gl/LtVncX) この記者会見の内容に対する佐村河内氏側からの発表がないから、どこまでが事実なのか断定することは難しいけれど、事件の輪郭がある程度わかってきた。 この記者会見の記…

「余は余一人で行く所まで行って、行き尽いた所で斃れるのである。」

最近、時事的な文章ばかりを書いていて、いささか食傷してしまった。 世間離れをしたくなり「漱石書簡集」を読み返してみた。 心を打たれたところはいろいろあるのだが、今日は、狩野亨吉宛の手紙の一節を紹介したい。 その当時、新設だった京都帝国大学文科…

東京都知事選挙「選挙公報」を読む:都知事をどうやって選ぶのか

東京都知事選挙「選挙公報」を読む 東京都知事選挙の選挙公報が我が家にも配達され、今、それを眺めている。 候補者が提出した版下をそのまま印刷しているのだろう、内容、レイアウトなど、有力候補、泡沫候補によって千差万別である(内容にある程度の制約…