しばらく前のエントリー「単純化」(id:yagian:20080517)で、「MBA戦略立案トレーニング」という経営戦略に関する解説本のなかに「実は戦略を立案することは案外、簡単なことが多い。」と書かれており、この一節について「戦略を立案することは簡単だろうか。」と疑問を呈した。
経営戦略に関する多くの本の元ネタとなっているポーター「競争の戦略」には、事業戦略の立案が簡単だなどとは決して書かれていない。邦訳で500ページ弱の大部のこの本の序文には次のように書かれている。
この本に書かれているコンセプトを身につけ、それを実務に生かすには、時間をかけた勉強しかありません。競争というものは複雑な主題ですから、手っとり早く理解しようとすると、いい加減なところで満足してしまうだけではなく、マトはずれの戦略を策定することになりかねません。この本の諸原理を利用すると、これから直面する難問題に対して、明解で、より効果的な競争戦略という報酬が返ってきます。
本物は本物である。
この「競争の戦略」は読み通すには時間がかかる。安直さはまったくない。しかし、内容はしごく明快である。
読むべきものはそれぞれの分野の古典である。
- 作者: 原田勉
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- 作者: M.E.ポーター,土岐坤,服部照夫,中辻万治
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