人工の自然

関西旅行のつづき。
嵯峨野を散策して、しっぽくうどんを食べた後、大徳寺高桐院と永観堂に行った。
高桐院は、以前、タクシーの運転手に勧められて行ったことがある。こじんまりとしている分、入口から本堂、庭園のすべてが細部まで神経が行き届いたとびきり趣味のいいお寺だった。細川家ゆかりの寺で、高級感がただよっている。庭園は季節ごとに風情が変わると聞いて、紅葉の時期に来てみることにした。
本堂の入口を入って廊下を抜けると庭が目に入ってくる。そこは、緑の苔が広がり、その上にいちめん紅葉が敷きつめられいた。一見、ごく自然に葉が落ちたように見えるけれど、計算されつくされている。嵯峨野の常寂光寺には野趣があったけれど、この高桐院はすべてに人の手が入っている人工の極みの小宇宙だった。

高桐院からバスと地下鉄を乗り継いで永観堂に行った。嵯峨野も人が多かったけれど、東山はいっそう人出が多かった。地下鉄の蹴上の駅から南禅寺永観堂まで人波が続いていた。
山の中腹にある多宝塔に上ると、京都の街が一望できた。永観堂の紅葉もすばらしかったけれど、人の多さに疲れてしまった。
道路も渋滞で麻痺状態になっていた。バスに乗って帰ろうと思ったけれど、満員のうえ、ほとんど立ち往生したので、途中のバス停で降りて三条まで歩くことにした。