勇気をもらう、元気をもらう
お正月のエントリー(id:yagian:20110101:1293807930)にサッチモの”What a Wonderful World”の動画を貼りつけた。本当にいい声をしているなぁと聴き惚れる。なんとも言えない深い表情をしていて、それにも見入ってしまう。
考えてみれば、サッチモは人種差別が厳しかった時代のアメリカ南部に生まれ育ち、厳しい人生を送っていたはずなのに、”What a Wonderful World”と歌えるということは、まさに素晴らしいことだと思う。そのことを思い合わせると、あの笑顔のような、あの表情の背後に、彼の苦境を乗り越えてきた歴史があるように思え、心が動かされる。
紅白歌合戦のゲストに、桑田佳祐が歌っていたのを見た。病気からの復活の紅白歌合戦という舞台だったけれど、まったくいつも通りの桑田さんだった。いろいろ苦労もあったと思うけれど、「本当は怖い愛とロマンス」は、軽くてくだらない内容の歌で、それを軽く歌っていた彼を見ていると、笑っていいのか、楽しんでいいのか、感動していいのか、よく分からなかったけれど、ぐっときた。
去年の年末、ドラマの「坂の上の雲」で、子規の死の場面があった。彼の病床での随筆「病牀六尺」「仰臥漫録」を読んでいると、複雑な気持ちになる。病状は壮絶で、結構泣き言や看護への文句なども書いているけれど、活発に評論を書き、俳句や歌を作り、絵を描き、庭の花を観察し、友人や弟子たちと話をしている。なんで、こんなに苦しく、また、死期が近いことが分かっているのに、これほど前向きでいられるのかと、不思議に思うし、感動する。
最近「勇気をもらった」や「元気をもらった」という言葉が、ずいぶん簡単に、安っぽく使われていると思う。けれど、この三人には、ほんとうに勇気や元気をもらうことができる。