ファシズム

自分の興味関心を中心にして暮らしていると世間一般のことがわからなくなってしまう。そこで、世間の潮流を知るために、定点観測をしている。定点は、父親とみのもんたである。彼らの口にのぼる話題は、世間で一般的になっている、ということがわかる。
もちろん、父親は藤原雅彦「国家の品格」(新潮新書 ISBN:4106101416)を読んで感銘を受けていた。驚きだったのは、その父親が村上春樹にはまっているということである(id:yagian:20060510:1147266743)。村上春樹も、ここまで世間一般の存在になっているのか。ノーベル賞をもらっても不思議ではない。
最近、この定点観測で、おどろいたことがあった。「あさズバッ!」のなかで、米軍移転の費用負担問題について、みのもんたが、そんな理不尽な費用負担をしなければいけないぐらいだったらアメリカとの同盟に頼らず日本は日本で独自に防衛をすればいいではないか、ということを語っていた。コメンテーターは、すぐに反応することができず、しばらく押し黙っていた。みのもんたがこのような発言をするところをみると、このような考え方が日本人のなかで一般化しているということだろうか。危険だと思った。
以前このウェブログで紹介した(id:yagian:20060402:1143956857)ことがある、ぶんまおさんのウェブサイト「ボクの哲学モドキ」(http://homepage3.nifty.com/bunmao/)のなかに、「ファシズムはもうはじまっている」と題した文章(http://homepage3.nifty.com/bunmao/0431.htm)がある。このなかで、次のように書かれている。

今のアメリカは、誰もそうは言わないけれど、前ファシズム状態であり、日本も同じです。「前」といっても、実際にはそのなかに入ってしまい、引き返し不可能なところまで進んでいるということです。

日本も右傾化が進んでいるとは思うけれど、ファシズム状態に入っているということはないだろうと思っていた。しかし、みのもんたの発言を聞いていると、ファシズム状態に入っているのかもしれないと思い直した。
これから日本の外交政策は、日米同盟を中心に考える方向と日本の軍事的な自立を目指す方向が対立軸になっていくのではないかと思う。
日本が自立を目指すという言葉は、威勢が良く、耳に入りやすいが、きわめて危険な道だと思う。日米同盟には、日本がアメリカに従属するという部分があり、すっきりとは説明しにくい部分があるから、ひとたび反日米同盟の流れができると、押しとどめることができなくなるかもしれない。
小泉首相は、日米同盟を重視していたけれど、安倍晋太郎(追記、安倍晋三のまちがいでした)が首相になれば日本が自立を目指す方向に向かうのではないかと思い不安である。