直方体

最近、散歩に出るときにポケットにデジタルカメラを入れるようにしている。写真が好きというほどのことはないのだけれども、写真を撮ろうと思っていると注意力が高まって普段は目に入らないような景色に気がつくようになる。お守り代わりにデジタルカメラを持ち歩いている。
おもしろいところがあったらウェブログに引用しようと思って読んでいると、漫然と読んでいる時より集中力が高まる。引用するために文章を書き写せば強く印象に残るし、実際には引用しなくてもネタにしようと思った部分はだいたい記憶に残る。
俳句や短歌をつくる人は、何もしなければ気がつかない一瞬の印象や気持ちに気づき、それを定着させているのだろう。
買物のついでにデジタルカメラを持って散歩に出た。いつも何気なく通り過ぎる道の脇にある団地が気になった。シンプルな直方体の形、「4」という文字の書体がかっこいいと思った。
モダニズムのデザインがうんぬん、といった能書きは知らないでもない。しかし、モダニズムの建築のデザインに心を動かされたことはなかったと思う。しかし、近所にあるただの団地の機能一点張りのシンプルなデザインに素直に心が反応した。ただの直方体になにか質量のようなものを感じた。同じような直方体が並ぶその団地で、建物を区別するただ一つの印として素っ気なくつけられた「4」の字のひんやりした感じがする。
今日は、デジタルカメラというお守りのご利益があった。