三日坊主克服法

子供の頃母親から、あなたは三日坊主で根気がない、とよく言われて、自分でもそう思っていた。確かに、子供の頃はものごとを長く続けることができないことが多かったように思う。しかし、最近は、いろいろなものごとを続けることができるようになってきた。
今、レヴィ=ストロースの「野生の思考」を読んでいる。以前は途中まで読んで放り出してしまったけれど、今回は最後まで読み通せる自信がある。ゴルフのレッスンも継続して通っているし、水泳や英語のポッドキャストも断続的にだけれども続けている。決して飽きっぽい方だとは思わない。
かつて、ものごとを続けられなかったのは、自分が三日坊主で根気がない性格だったからではなく、やり方が悪かったのだと思う。今は、何かを続けるための方法論がわかってきた。
まず第一に、好きなことを続けるということ。かつては、やらなくてはならないという理由や、ちょっとした好奇心でやりはじめたことも多かった。しかし、そのうちの多くは継続できなかった。今でも続けていることは、長年いろいろトライした結果、淘汰されたものである。今振り返ると、結局のところ、好きなものだけが残っている。
もちろん、やらなくてはならないということもある。英語のポッドキャストを聴くのは、純粋に好きだから、というだけの理由ではなく、英語の勉強をしなければという気持ちもある。同じ英語の勉強をするなら、好きな方法を選ぶことが大切だ。私はアメリカ好きだから、アメリカのニュースには興味が湧くし、ニュースのなかでもよりおもしろい、キャスターが気に入った番組を選んでいる
好きといっても、継続することは難しいこともある。最近、現代思想の本を読んでいるが、知的好奇心を刺激されるけれど、単純におもしろいわけではない。難解な文章を読むのは、退屈したり苦行だったりすることもある。水泳は好きだけれども、プールに行くために家をでるときには、面倒くさいという気持ちになることも多い。
そんなとき、はじめるきっかけさえつかめれば、その後はスムーズにものごとが進むことが多い。難解な本を手に取るまで、プールに行くために家をでるまでは億劫だが、いざ読み始め、泳ぎ始めてしまえば楽しくなる。最近、そのきっかけをつかむためのハードルをさげるために、なるべくいろいろなことをルーティーン化するようにしている。
現代思想の難解な本を読むには、毎晩、就寝前に1章だけ読むことに決めている。1章だけだったらそれほど負担にもならないし、ベッドの脇に本を置いておけばすぐ手に取って読むことができる。そして、朝起きた後、その章の要約をツイートすることにしている。そうすれば、逆に、明日の朝ツイートしなければと思い、就寝前に本を読むことになる。
ゴルフやプールも、行く曜日、時間を決めている。そして、それにあわせて生活習慣を作っている。毎週末ワイシャツをクリーニングに出すけれど、ゴルフスクールの帰り道に寄るようにしている。そうすると、クリーニングに行くためにもゴルフスクールに行かなければと思う。英語のポッドキャストも、通勤のときに聴くようにしている。そうすれば、無理なく継続することができる。
あともう一つ、自分の力だけに頼らず、他人の力を利用することである。今回ゴルフが続いている最大の理由は、夫婦で始めたことである。さぼりたいと思う日もあるけれど、つれあいと一緒なら休むことなく通うことができる。本も要約をツイートしたり、感想をウェブログに書くようにしている。そうすると、途中で挫折するのが恥ずかしいと思い、最後まで読み通すことになる。
ものごとを続けることは、根気がある、根気がないといった性格の問題ではないし、自分は本質的に三日坊主だということでもない。ようやく、母親の言葉の呪縛を脱することができた。

野生の思考

野生の思考