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ポートランドはおいしい

アメリカの食の新しい潮流

今年の夏休み、オレゴン州ポートランドに一週間滞在した。

アメリカというと、食事がおいしいというイメージは乏しいと思う。しかし、最近、アメリカの食事情は大きく変化しつつあり、その変化の最先端、中心となっているポートランドで新しい食の潮流を味わってきた。

Tugboat Brewing Company★★★★☆

ポートランドの空港からホテルに着き、シャワーを浴びてひとやすみをしたあと、さっそくクラフトビールを飲みにビアバーに繰り出した。

西海岸を中心として、アメリカではクラフトビールを作るマイクロブリューワリーが増え、今ではブームを超えてすっかり定着している。ポートランドは、そんなマイクロブリューワリーが集まっている都市のひとつだ。

クラフトビールに限らず、同じブランドのビールでも違う味に感じらることが多い。たまにごくふつうのビール(例えば、「一番搾り」の生ビール)がやけにうまく感じられることがある。逆にやけに水っぽく気が抜けているように感じる時もある。もちろん、気候や体調の影響もあるのだろうけれど、ビールはナマモノだから、品質が不安定なのだろう。日本でもアメリカのクラフトビールを飲める店が増えてきたけれど、ブリューワリーのすぐ近くで飲むビールは新鮮で品質が保たれているためか、おいしく感じる。

この店は、腕にタトゥーが入ったおばさんが仕切る素朴な雰囲気で、地元の常連さんが集っている様子。10ぐらいタップがあって、Tugboat Brewing Companyで作っているビールと、そのほかオレゴンとカリフォルニアのいくつかのブリューワリーのビールが飲める。

チーズと黒豆がたっぷり乗ったナチョスをつまみに、Tugboatのビールを2杯ほどサクッといただく。想像していたよりずいぶん安くて、近所にこんなお店があったら、常連になりそうだ。

The Portland Farmers Market at Portland State University★★★★★

翌朝、朝食を食べるために、ポートランド州立大学で開催されているファーマーズマーケットに行った。

アメリカの新しい食の潮流は、「オーガニック」と「地産地消」がキーコンセプトになっている。ポートランドでは、曜日ごとに場所を変えてファーマーズマーケットが開催されていて、この「オーガニック」と「地産地消」運動の核となっている。ポートランド州立大学のファーマーズマーケットは、毎週土曜日に開催され、ポートランドでは最大規模のようだ。

最近、鎌倉でも「鎌倉野菜」をブランド化して、地産地消を進めている。鎌倉駅からほど近くに鎌倉市農協連即売所があり、そんな野菜を農家から直接買うことができる。しかし、このポートランドファーマーズマーケットは、規模、品揃えが圧倒的に違う。

今はベリー類が旬らしく、いろいろなベリーを並べた屋台がたくさんあった。おいしそうに見えたので、小粒のイチゴを買ってみた。完熟したイチゴはおどろくほど甘く、やわらかく、口のなかですぐとろけた。

大きなバッグを肩にかけて買い出しをしている人をたくさん見かけた。たしかに、ポートランドに住んでいたら、毎週末通ってしまうかもしれない。

ポートランドにも、オーガニック食品を扱うスーパーマーケット「ホールフーズマーケット」があるけれど、このファーマーズマーケットはかなり強力なライバルだと思う。

Higgins Restaulant & Bar★★★★☆

夕食には、地元のオーガニック農産物を活かした料理を作る老舗のレストラン、Higginsに行った。

ポートランドの町自体がいい意味で素朴な田舎風ということもあり、この町のレストランやバーもいい意味でおしゃれ過ぎないところがいい。この店も気張っておらず、落ち着いた雰囲気だった。ウェイターもベテランな人が多く、客層の平均年齢も高い。

オレゴン産のワイン、泡、白、赤を一杯ずついただきなから、ごくふつうだけど、おいしいアメリカ料理を堪能した。

Heart Coffee★★★★☆

郊外にドライブするとチェーンのファーフトフードの店舗は見かけるけれど、ポートランドの中心市街地ではほとんど見かけなかった。マクドナルドがまるでない都市、というのも珍しいかもしれない。その代わり、スターバックスは石を投げれば当たりそうなぐらいどこにでもある。

ブルーボトルコーヒーが日本に出店して以来、東京でもサードウェーブコーヒーのカフェが増えてきた。ポートランドでは、ブルーボトルコーヒーはないけれど、さまざまなサードウェーブのカフェがあり、スターバックスよりおいしいコーヒーを手頃な値段で提供しているから、競争は厳しいのかもしれない。

シンプルな内装の小さなカフェだけど、ポートランドを代表するカフェの一つで、行列ができている。ハウスブレンドのコーヒーを頼んだけれど、複雑な、いままで飲んだことがない味わいだった。

考えてみれば、ボストンで紅茶を海に捨てて以来、アメリカ人はコーヒーを大量に飲み続けてきたんだからそろそろおいしいコーヒーを飲んだっていい頃かもしれない。

Pallo Bravo at Pine Street Market★★★★☆

この日は、まだ時差の調整ができていなくて、昼食の時間に食欲がわかず、午後の早い時間に昼食兼夕食をかんたんに食べられるお店を探した。倉庫をリノベーションして作った新しいフードコートを試してみることにした。

フードコートと言っても、ふつうのモールにあるようなファーフトフードと屋台が集まったものではなく、現代アメリカの「おいしい」料理を出すお店が集まっている。

ハッピーアワーで、なんとクラフトビールが(小さいグラスだけど)一杯1ドル。ホットサンドウィッチに挟んであるグラスフェッドの牛肉がしっかりとした肉の香りがする。

半端な時間だったけれど、にぎわっていた。たしかに、フードコートでこれだけの料理が食べられれば、何も言うことはない。

Stumptown Coffee Roasters★★★★★

ポートランドのカフェのコーヒーはどこもハズレはなかったけれど、このお店のコーヒーがいちばんおいしく感じた。

比較する意味もあり、カフェに行くと、その店でいちばん標準的なハウスブレンドのコーヒーを頼むことにしていた。このカフェは非常に気に入って二回行ったので、一回目はハウスブレンド、二度目はカプチーノを飲んだけれど、どちらもとてもおいしかった。

サードウェーブのカフェでは、苦味や酸味よりはフルーティなあじわいのコーヒーが出てくることが多い。考えてみれば、コーヒー豆は果実だからフルーティなのが当然でもある。

Trifecta Tavern★★★★☆

この日は、コロンビア・リバー・ジョージ(コロンビア渓谷)にトレッキングに行ってきた。レンタカーを返してホテルでシャワーを浴びた後、ホテルからバスに乗ってこのレストランに行った。

この旅行中、モバイwifiをレンタルしてGoogle Mapを見ながら歩き、ドライブをしていたけれど、ガイドブック、地図、カーナビはもう不要だと思った。

旅行者として知らない都市のバスは、路線がわかりにくくて使いにくい。しかし、Google Mapで行き方を検索すれば、停留所の位置や時間も含めてわかりやすく教えてくれるから不安がなく利用できるようになった。

レンタカーにはカーナビは付いていなかったけれど、Google Mapのナビで、精度、情報量ともまったく不足がなかった。

このレストランは中心市街地から少し外れたところにあり、倉庫をリノベーションして、ダイナー風のしつらえにしてある。薪の窯でグリルする料理が中心で、ピザの一種のような料理(flatbreadという名前になっていた)とエビのグリルを頼み、やはりタップのクラフトビールをいただく。

アメリカのクラフトビールというとIPAが中心だけど、今回はあえてIPA以外のビールを飲んでいる。このお店の一杯目は、トレッキングで渇いた喉をピルスナーでうるおした。しみた。

Hair of Doc Brewing Company★★★★★

翌日、またレンタカーを借りて、今度はオレゴン州の太平洋岸までドライブをした。ポートランドからコロンビア川河口にあるアスターという町まで2時間弱ほどかかる。

滞在していた一週間、ポートランドはずっと天気がよく、快適だった。日中は30度を超えるけれど、乾燥しているので、風が日陰に入るとさわやかで、夜には20度を下回り寝苦しさはまったくない。太平洋岸は天候が悪く、日中でも20度を超えず、寒いほどだった。

日本を含め、夏、湿度が高くて暑い地域のビールは、やはり一気に飲み干せるようなタイプの味が多いように思う。

一方、アメリカのクラフトビールに多いIPAは独特の苦味と濃さがあって、蒸し暑いビアガーデンで一気に飲み干すには適さない。この気候にして、このビールの味があるんだと納得した。

このお店は、Hair of Dog Brewery Companyの直営店で、このブリューワリーで作っているビールをタップで提供している。

ここもかつての倉庫をリノベーションした店舗で、店内はシンプルなしつらえになっており、料理は手のかからないものが中心で、ビールを主役にしたお店だ。

注文したビールがすべて衝撃を受けるほどおいしく感じられた。ここのビールを飲めただけで、ポートランドに来た甲斐があったと思う。

おいしいコーヒーは、濃く淹れればコクと香り楽しむことができ、薄く淹れるとむしろ味の成分が繊細に感じられるようになる。それと同じで、このブリューワリーのビールは、スタウトはコクと深みがあり、ラガーは味を構成する要素のそれぞれが粒立っているようだった。

ツマミは、ハム、サラミ、チーズ、オリーブ、ドライフルーツの盛り合わせだったけれど、このブリューワリーのビールによく合っていて、このお店の人はビールをおいしく飲むということが実によくわかっている。

Mother's Bistro & Bar★★★★☆

アメリカのふつうの朝食、卵とベーコン(もしくはハムかソーセージ)とトーストとコーヒーの組み合わせ、が好きだ。旅行中、ここまではカフェでペストリーとコーヒーという朝食を食べていたけれど(おいしいから満足している)、アメリカに来たからには一回はがっつりとした朝食を食べたいと思い、ホテルの近くの朝食のメニューがあるレストランに行った。

ランチの時間の少し前の時間だったけれど、ほぼ満席で、素朴なダイナーを予想していたけれど、ずっと洗練されたレストランだった。

メニューふつうのアメリカ料理で、期待通りのアメリカンな朝食を食べることができた。付け合わせのソーセージとベイクドポテトが手作り感があっておいしかった。

アメリカンコーヒーを注文したので、大きめのマグカップに薄いコーヒーが出てきた。少し飲むとどんどん注いでくれる。日本の水とほとんど同じ感覚で飲んでいるのだろう。

ポートランドは、西部開拓時代に農民たちが幌馬車(馬ではなく、牛が引いていた)で移住した道、オレゴントレイルのほぼ終着点にあたる。移動中、きれいな水を得ることが難しく、消毒と味をごまかすために、コーヒーを淹れて水代わりに飲んでいたという。

どんどん注ぎ足されるアメリカンコーヒーは、オレゴントレイルで農民たちが飲んでいたコーヒーの伝統を引き継いだものかもしれない。

Case Study Coffee Roasters★★★★☆

不思議な名前のコーヒー店。

ここのお店でハウスコーヒーを頼んだら、エチオピアのウォッシュドだと説明してくれた。薄めだけど味わいがある、最近飲み慣れている系統のコーヒーで飲みやすかった。

ようやく時差も調整できて、ポートランドの町にも慣れたところで、もうこの旅行も終わろうとしているのが寂しい。

コーヒーをすすりながら、ポートランドで食べたもの、飲んだものに思いをめぐらし、ブログを書いていた。

 Bamboo Sushi★★★★☆

最近、海外旅行に行くと、一回はスシを食べるようにしている。世界各国で、スシはすっかり地元向けの食べ物として定着して、日本人の手から離れてさまざまに現地化している。どんな風にアレンジされたスシを食べられるか楽しみにしている。

海外のスシ屋では、東アジア系の風貌の店員を揃えているケースもあるけれど、この店はそんなこともない。より現地化の程度は高く、かつ、店のしつらえも、料理も洗練されていた。

最近では日本のスシ屋でもカリフォルニアロールが食べられることも多いけれど、ここはオリジナルのロールが充実している。地元で獲れた海産物を中心とした"The Local"というロールを食べた。ビンチョウマグロが入っていて、なかなかいける。

締めに"Okonomiyaki"を頼んでみた。薄くクリスピーに焼いたピザに近いものの上にキャベツが乗っていて、ちょっと辛めのマヨネーズベースのソースがかかっている。食べたことのない旅行中だけど、これはこれでおいしかった。

ポートランドはおいしい

ポートランドで食べ、飲んだものは、みなリーズナブルでおいしかった。お店は気取りなく素直においしいものを作り、それを好む地元の客が支えている、という好循環ができているようだった。

ポートランドの人口は約60万人。日本だと、静岡、岡山、鹿児島、松山などとほぼ同じ規模である。日本にも、ポートランドのような「おいしい」町はあるのだろうか。

 

Twitterにはファーガソン事件、Facebookにはアイスバケットチャレンジが並ぶ

中絶合法化が犯罪率を減らした?:「ヤバい経済学」と「エビデンス・ベースド・アプローチ」

「ヤバい経済学」は、これまであまり「エビデンス・ベースド・アプローチ」(実験や調査によるデータの定量的分析に基づく手法)が適用されてこなかったさまざまな社会的事象に対して、定量的な分析、実証をすることによって、通説、常識を覆し、思いもよらない(そして興味深い)原因を提示している。

本書を特に有名にしたのは、アメリカにおける犯罪率の低下の要因として、中絶合法化が進んだことにより犯罪者となるリスクが高い子供の出産が減ったことを統計的に示したことである(しばらく前の大相撲の「八百長」に関する定量的分析もある)。

この本で提示されている結論、仮説のすべてが正しいとは思わないけれど、データに基づいた分析だから追試、検証をすることができる。それまでの「専門家」による定量的分析に基づかない「理論」「説明」は、検証することができないから、「ヤバい経済学」の仮説は、はるかに開かれたものだ。

そして、なによりも対象とする社会的事象を選択するセンスがすばらしく、この本を魅力的なものにしている。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

 

Podcast版「ヤバい経済学」:"Freakonomics Radio"

 この本は、経済学者であるスティーブン・ダブナーとノンフィクション・ライターのスティーブン・レヴィットの共著になっている。このうち、スティーブン・レヴィットがPodcast版「ヤバい経済学」である"Freakonomics Radio"を制作している。週1回更新されるこのPodcastも、毎回テーマの設定がすばらしく、毎回心待ちにしている。

www.stitcher.com

Twitterにはファーガソン事件、Facebookにはアイスバケットチャレンジが並ぶ:インターネットと自由

しばらく前のFreakonomics Radioで、インターネットと自由をテーマとする回があり、その冒頭で興味深いエピソードが紹介されていた。

ある日、自分のTwitterのタイムラインを見ると、ファーガソン事件に対する抗議行動の話題でうめつくされていて、これは大事件だと驚いたという。しかし、Facebookのタイムラインではファーガソン事件の話題はまったくなく、アイスバケットチャレンジ(流行った時期がありましたね)の投稿が並んでいた。これは、Facebookファーガソン事件の投稿を「検閲」して削除していた訳ではなく、Facebookは過去のアクセスデータを解析して閲覧時間を最大化するようにタイムラインを調整していたためだからという。

この話を聴いて、さまざまな感想が思い浮かんだ。

単純に文字通り時系列にタイムラインを表示するTwitterは、利用者の立場から見ると存在意義があると思うけれど、企業としてみればFacebookに完敗しているのは当然だよなと思う。

Facebookは非常に洗練した方法でタイムラインを調整して、いわば「見たいものを見せている」いるのだろう。だから、Facebookだけを見ていると、情報が偏ってしまう。もっともテレビも視聴率を指標にして「見たいものを見せる」競争をしているのだから、同じように情報が偏っている。書店も棚の量には限界があるから、売れる本や雑誌、つまりは「見せたいものを見せる」競争をしている。

インターネットによって広く安く情報を集めることができるようになったけれど、かなり意図的にさまざまなメディアで情報を探すようにしないと、「自分の見たいもの」だけの狭い世界に閉じ込められてしまうのだろうと思う。政府がある一定の価値観を押し付けるための「検閲」ではないけれど、「自分の見たいもの」の世界に閉じ込められるのもやはり自由ではない。

www.stitcher.com

 

至福の日曜日、及び、モヒートの作り方

至福の日曜日

今日は週末のルーティーンに通りに過ごしている。

朝、ワイシャツにアイロンをかけ、靴を磨く。

午前中は近くの雑司が谷体育館のスイミングプールに行く。最近のメニューはこんな感じ。

  • 水中ウォーキング:100m
  • ビート板キック:200m
  • フリー(ゆっくり):500m
  • フリー(ピラミッドスイム):50m→100m→200m→100m→50m
  • 水中ウォーキング:100m

今日は同じレーンに速いスピードで泳いでいる人がいて、刺激されていつもより追い込んでしまった。

池袋西武まで歩いて、ドンクでハードトースト、船橋屋でくず餅を買う。

昼ごはんをどこで食べようかとうろうろしていたら、いつもは混んでいるA Pizzaのカウンター席が空いていて、ピザにありつくことができた。

tabelog.com

家に着き、セミの鳴き声を聴きながらお昼寝。

目が覚めて、麦茶を飲みながらくず餅を食べた。

モヒートの作り方

しばらく前、トム・コリンズを作る話を書いたけれど、今はレパートリーが広がって、ジン・アンド・トニックとモヒートも作るようになった。

yagian.hatenablog.com

このブログを書き終わったらモヒートを作って、いただくつもり。

モヒートの作り方はこの動画を参考にしている(動画のレシピはわかりやすい、いい時代になった)。

www.youtube.com

材料
  • ホワイトラム 4オンス:バカルティのホワイトラムを使った
  • ライム 1/2個
  • ペパーミント 7枚:ミントであれば、スペアミントでもOK
  • クラブソーダ 100ml
  • シロップ 大さじ 1杯:甘みがしっかりある方が好み
  • 氷 グラス1杯分:近所のセブン・イレブンで購入。
作り方
  1. ライムの端を切り落とし、さらに1/2に切る、その半分のライムを1/4に切り分ける
  2. ミントの葉を7枚ほどちぎる
  3. ライムとミントをグラスに入れて、延し棒でしっかり潰す
  4. 氷を入れ、ホワイトラム4オンス(メジャーカップの大きい方で2杯)を計ってグラスに入れる
  5. シロップを大さじ1杯グラスに入れる
  6. よくかき混ぜる(モヒートはそこにたまりやすいので)
  7. クラブソーダをグラスいっぱいになるまで注ぐ(ゆっくりと)
  8. 炭酸が飛ばないように軽くかき混ぜる
  9. いただきます!(至福)

鎌倉三十三観音霊場巡礼結願

鎌倉三十三観音巡礼結願

ここ数年、鎌倉に通って三十三観音を巡っていた。先週の土曜日、三十三か所目の参拝を済ませ、ようやく結願することができた。

巡礼というと四国八十八箇所が有名だと思う。それに比べるとずいぶんこじんまりしているけれど、鎌倉市内にある観音様がいらっしゃる三十三のお寺が「鎌倉三十三観音霊場」(鎌倉三十三観音霊場 - Wikipedia)として選ばれていて、第一番杉本寺に始まり、第三十三番円覚寺仏日庵まで参拝すると結願となる。それぞれのお寺で参拝すると、御朱印を頂くことができる。

下の右が第二十八番建長寺、左が第三十番明月院の御朱印である。お参りをした後、社務所で御朱印帳に観音様のお名前、お寺の名前、参拝日を書き、捺印して頂く。毎日たくさんの御朱印を書かれているからだろう、さらさらときれいな字で書いて頂ける。

三十三観音の御朱印をすべて広げてみるとなかなか壮観である。

結願までの道のり

鎌倉三十三観音はすべて鎌倉市内にあって徒歩で回ることもできる。自動車か自転車を使えば2日ぐらいで回ることができるだろう。徒歩でも4日で回り切ることもできる。四季に分けてそれぞれの季節の鎌倉を体感しながら巡礼するのがおすすめである。

私は自宅から鎌倉まで電車で1時間半ほどかかる。鎌倉にお昼前につくような時間に出発し、早めの昼ごはんを食べた後、午後、4か所か5か所ぐらいお寺を巡る。日が暮れた後、軽くお酒を飲みながら夕食を食べ、帰宅するというパターンでお参りをしていた。

朱印帳を開いてみると、発願の第一番杉本寺の御朱印の日付は平成22年1月10日、最後の御朱印は第十五番来迎寺が平成28年7月16日だから6年半かかっている。

巡礼を始めた時期は、まだまだ体調が優れず、休み休み半日も歩くとすっかりと疲れてしまい、鎌倉で夕食を食べる余裕もなく、帰りの電車のなかでぐったりと眠りながら帰ってきた。途中、さらに体調を崩して鎌倉行きを中断していた時期もある。後半になると体調も回復して、半日歩き回ってもあまり疲れることもなく、夜のお酒と食事を楽しみにしながら歩けるようになった。

すっかり三十三か所のお参りを済ませたつもりで、第三十三番建長寺仏日庵で結願の印を押してもらったのだけれども、あとで御朱印帳を見返してみると御朱印が32しかないことに気がついた。来迎寺という名前のお寺が2か所あり、第十五番の方の来迎寺にお参りしていなかった。そして、後日、来迎寺を訪れ、なんとか三十三か所のすべてに参拝することができた。

鎌倉のお寺の個性

三十三観音霊場のお参りをする前も、幼少の頃から折りに触れ鎌倉に遊びに行く機会はあった。円覚寺建長寺長谷寺、大仏などはお参りしたことがあったけれど、それ以外のお寺ははじめてだった。

さまざまな個性を持ったお寺があり、鎌倉の歴史の深さを感じることができた。円覚寺建長寺は立派な門があり、禅宗の厳しい雰囲気が感じられる。一方、長谷寺は大衆的なお寺で、賑やかで優しい雰囲気だ。

山際にあるお寺と海岸に近い開けた土地にあるお寺でも雰囲気が違う。北鎌倉には禅宗にお寺が集まっているが、山の方が静かで修行に向いているのかもしれない。下の写真は建長寺のなかにある龍峰院という塔頭で、まるで京都のお寺のようだ。

第一番杉本寺は山寺の雰囲気があって、お寺まで登る石段が苔に覆われていて美しい。その近くにある報国寺には美しい竹林があり、そのなかの茶室でお抹茶を頂くことができる。夏でも涼しく、疲れた足を休めることができる。

海側のお寺では、材木座の光明寺が印象に残っている。海水浴場のごく近くあり、立派な山門がある。開けた土地にあって、山の中の狭い谷にあるお寺と違い開放感がある。極楽寺のそばにある成就院では、海を背景にしてあじさいを見ることができる。鎌倉大仏がある高徳院霊場に入っている。

 鎌倉の移り変わり

六年もかけて鎌倉を巡った怪我の功名で、鎌倉の移り変わりも感じることができた。

観光地として、鎌倉の観光客は年を追って増えているように思う。外国人観光客も増え、休日には江ノ電に乗るのが難しいぐらい盛況になっている。三十三観音霊場巡礼をする人も増え、御朱印帳を持っている人が目につくようになった。

小町通りもいつも人で溢れていて、いかにも観光地といった風情のお店も多くなった。しかし、路地を入ったところには、古民家を改装して鎌倉野菜を使った料理を提供するお店が点在している。夜、そんなお店でお酒を飲みながら、その日お参りをしたお寺の話をするのが楽しい。

三十三観音霊場になっているお寺は、鎌倉のなかでもあまり観光客が足を伸ばさないような場所にも点在している。そういうところは、静かで上品な住宅街が広がっている。巡礼というきっかけがなければ足を伸ばすこともなっただろうと思う。

観光地としての鎌倉、住宅地としての鎌倉、山の鎌倉、海の鎌倉と、鎌倉のさまざまな側面、魅力を見ることができた。今回、三十三観音霊場巡礼は結願し、鎌倉に行く機会は減るだろうけれど、これからも鎌倉を歩いてみたいと思う。

また、御朱印帳を持って別の霊場巡礼にも挑戦してみようと思っている。

夏の夕暮れの至福:トム・コリンズを飲む

季節とお酒

たまに「お酒は何が好きか」聞かれることがあるけれど、いつもなんと答えてよいか迷ってしまう。結局「季節、気候、場所、料理次第かなぁ」と曖昧に答えてしまうことが多い。

寒い季節には身体を温めてくれるお酒がいいけれど、暑くなってくるとすっきりとしたお酒が飲みたくなる。今はどんなお酒がおいしいかなぁ、とあれこれ想像を巡らすのがとても楽しい。

もちろん、ビールがおいしい。炭酸の刺激と苦味が爽やかだ。

最近、Facebookで、夏のカクテルの作り方を紹介するショート・ビデオが送られてくる。それがいちいちおいしそうで、酒欲をおもいきり刺激される。特に、ジン、レモン、ソーダで作るトム・コリンズがさっぱりとしておいしそうだった。

cooking.nytimes.com

夏の夕暮れの至福、トム・コリンズを飲む

さっそくトム・コリンズの材料一式を揃えた。

タンカレーのジンを買って、冷凍庫に放り込んでおく。カナダドライのクラブソーダは冷蔵庫に常備。シロップはアイスコーヒー用のものを転用。あとは、レモンと氷があれば準備OK。

金曜日の夕方、会社の机の上を片付けて退社するときには、もう、家に帰って飲む一口目のトム・コリンズのことで頭がいっぱいになっている。

家に着き、着替え終わったら、取るものとりあえずトム・コリンズの材料一式をカウンターに並べる。レモンを絞ると、さわやかな香りがキッチンに広がる。ソーダを注ぎ、軽く混ぜる。もう待ちきれず、立ったまま一口すする。

レモンの酸味、ソーダの刺激、ジンの苦味、シロップの甘味、氷の冷たさが口の中に広がる。

至福。

酒飲みの言い草だけど、レモンでビタミンを摂取できるし、ジンは蒸留酒だし、一杯のトム・コリンズはむしろ身体にいいに違いない。

トム・コリンズのレシピ

 ニューヨーク・タイムズのレシピはシェイクしているけれど、シェイカーは持っていないので簡略に作っている。レモンサワーをジンで作るようなものですな(あ、逆か、レモンサワーがトム・コリンズの焼酎版か)。

材料 
  • ジン 2オンス:タンカレーのジンを使った(お好みのジンで)。
  • レモン 1/2個
  • クラブソーダ 100ml:カナダドライクラブソーダを使った(甘みのない炭酸水であればなんで)。
  • シロップ ティースプーン 1杯:キーコーヒーのアイスコーヒー用のシロップを使った(甘みのみのシロップならなんでも)。
  • 氷 グラス1杯分:近所のセブン・イレブンで購入。
作り方
  1. 背の高いグラス(あらかじめ冷凍庫に入れて冷やしておく)に氷を入れて、軽くかき混ぜて氷をなじませる。
  2. ジンを2オンス(メジャーカップの大きい方)計ってグラスに入れる。
  3. レモンを半分に切り、絞る。それをグラスに入れる。
  4. シロップをティスプーン1杯計ってグラスに入れる。
  5. よくかき混ぜる。
  6. クラブソーダをグラスいっぱいになるまで注ぐ(ゆっくりと)。
  7. 炭酸が飛ばないように軽くかき混ぜる。
  8. いただきます!

 

キリン タンカレー ロンドン ドライジン 47.3度 750ml
 

 

 

ナガオ 18-8ステンレス メジャーカップ 45&30cc 燕市製

ナガオ 18-8ステンレス メジャーカップ 45&30cc 燕市製

 

  

「找自己」(「自分を取り戻して」)陶喆(David Tao)

第二外国語としての中国語

大学の第二外国語で中国を選択していた。

学生時代(1980年代後半)、上海と杭州を旅行した。神戸から鑑真号というフェリーに乗って上海に着いた。そのころの中国は、改革開放時代に入っていたけれど、まだまだ文革の香りがして、外国語はほとんど通じなかったから、第二外国語の中国語が役に立った。

会社に入ってすぐ(1990年代前半)、雲南省を旅行した。昆明から大理、麗江までバスに揺られた。麗江の旧市街地はまさにシャングリラだったけれど、旅行している外国人は中国語が堪能なドイツ人バックパッカーか香港の若者ぐらいで、やはり第二外国語の中国語が役に立った。

今では、上海は現代の大都市になり、麗江世界遺産の人気の観光地になっている(隔世の感)。

中国語のブラッシュアップ

当時はサバイバルできる程度の中国語はできていた(らしい)。それ以来、中国語は放置していて、すっかり忘れてしまった。

去年の夏、香港に旅行するときに、広東語の入門書を一冊ななめ読みをした。覚えたフレーズを話したら一応通じたけれど、相手の返事がさっぱりわからなかった。ちょっと悔しくなって、中国語(普通語)と広東語をブラッシュアップすることにした。

初級から中級に入るためには、ボキャブラリーを増やす必要がある。覚悟を決めて毎日少しずつ単語を覚えるようにしている。

中国語圏のポップカルチャー

勉強をしているだけでは楽しくないので、中国語圏のポップカルチャーでお気に入りを作りたいと思っている。しかし、韓流に比べると、中国語圏のポップカルチャーは日本での情報量が少ない。スカパーでCCTVを見ているけれど、わりと「お硬い」番組が多くて、現代の中国語圏のポップカルチャーにいまひとつ触れることができない。

そう思いながらCCTVを見ていたら、陶喆(David Tao)の「找自己」とうい曲のPVが流れてきた。曲も歌詞も気に入ったので、Wikipediaで調べてみたら、香港生まれで台湾で活躍している歌手だった。一青窈も推している人だという。

David Tao - Wikipedia, the free encyclopedia

「找自己」(「自分を取り戻して」)陶喆(David Tao)

ちょっと怪しいけれど、「找自己」の歌詞を翻訳して紹介しようと思う。


陶吉吉 找自己KTV

baike.baidu.com

「自分を取り戻す」陶喆

昨夜、こんな夢を見た

サハラ砂漠に行って

太陽の下にひとりきりでいる

摂氏66.6度

目があっという間に焼き付く

突然、大雨が降ってくる

雨が汗を流してくれる

40日間の苦しみが終わり

砂漠のオアシスに変わる

虹の下の大樹に

リンゴがひとつなっている

一口かじったとたんすべてがわかる

この美しい世界で自分を取り戻す

 

ララ ララララ 雨が降っている

ララ ララララ 雲が泣いている

ララ ララララ 雨粒が心にしみる

想像しているだけなんだ

ただ妄想しているだけなんだ

ララ ララララ 雨でずぶぬれにさせてくれ

もう一度、もう一度だけ

この美しい瞬間に自分を取り戻したい

 

バスの中にすし詰めになって

毎日規則正しく出勤してる

こんなに多くの人はどこに行くのか

みんな救いようがない顔をしている

パパとママにはもう愛情はない

これが本当の人生なの?

もう一度、もう一度だけ

この美しい世界に逃げ込みたい

軒先で雨宿りして

シーツにくるまって寝る

雨音を聴きながら

 

ララ ララララ 雨が降っている

ララ ララララ 雲が泣いている

ララ ララララ 雨粒が心にしみる

想像しているだけなんだ

ただ妄想しているだけなんだ

ララ ララララ 雨でずぶぬれにさせてくれ

もう一度、もう一度だけ

この美しい瞬間に自分を取り戻したい

離脱派は愚かだったのか

離脱派へのネガティブ・キャンペーンと実態

EU離脱に関する国民投票の結果、イギリスはEUから離脱することになった。その直後、残留派から離脱派に対するネガティブ・キャンペーンがいっせいに始まった。

彼らの主張を読むと、離脱派の人々は「イングランド(とウェールズ)の地方部に住み、高齢で低学歴、低所得の労働者階級であり、移民へ人種差別をしており、政治的意図があるポピュリストの政治家の扇動に騙され、EU離脱による影響を理解せず離脱に投票したものの、投票後冷静に考えてみるとEU離脱が合理的でないことに気がつき、今は後悔している」そうだ。

本当か?

EU離脱はイギリスの国論を二分する問題であり、残留、離脱のそれぞれにそれ相応の根拠があると思うのだが、残留派の離脱派に対する差別的な視線は非常に感じが悪い。更に悪いことに、残留派は離脱派が人種差別的だと非難しつつ、自分自身が差別的だということに気がついていないように見える。

さすがに離脱派に対するネガティブ・キャンペーンが目に余ることもあり、離脱派の実態を紹介する記事も目につくようになり、私自身はちょっと安心した。

www.newsweekjapan.jp

bylines.news.yahoo.co.jp

Brexitは不可避か

Brexitについてさまざまな評論、論考があるけれど、私がいちばん納得できたものは、これである。

www.rieti.go.jp

この論考は国民投票直前に書かれたものだが、そのなかで「6月23日の国民投票でイギリスのEU離脱の有無は取り敢えず決着する。しかし、EU残留となっても、将来的にイギリスがEUを離脱する可能性は消滅しない。それどころか、むしろ強まっていくと予想される。」と述べている。私も国民投票前まったく同じことを考えていた。

冷静に比較してみると、離脱派残留派もEUに対する態度には大差はないことがわかる。

残留派は主としてEU共同市場から離脱することの経済的なデメリットを強調していた。彼らもこれからEU統合が進むことについて肯定的な主張をしていた訳ではない。キャメロン首相は、イギリスが特別扱いされるようにEUと交渉した成果を強調していた。

 離脱派もEU共同市場に参加していることのメリット、そこから離脱することのデメリット、リスクについて一定の理解はあったのだと思う。しかし、EUに加盟していることのデメリットの方が大きいと考えている。

結局、離脱派残留派もEU共同市場は経済的なメリットは大きいと考えているが、EUそのものについてはいい印象を持っていない。国民投票は、EU共同市場にとどまるために、気に入らないEUにがまんするか、がまんしないか、という選択だったのだと思う。

もし、今回は残留派が勝利していたとしても、EU統合がさらに進めば、EUから離脱すべきと考えるイギリス国民は増えただろう。

EUは改革できるか

イギリスに限らず、EUはあまり人気がないようだ。

イギリスの離脱に続き離脱の連鎖を防ぐために、イギリスとの離脱交渉においてEU側は厳しい姿勢で臨むのではないかという観測がある。合理的に考えれば、EUにとってもイギリスとの経済的な障壁は低いほうがメリットがあるはずだ。しかし、そのような「甘い」合意をしてしまうと、離脱の連鎖を促進するから、「厳しい」態度で臨むという予測である。

しかし、離脱したメンバーに嫌がらせをして、他のメンバーが離脱を思いどまるように強いる組織は、まともなよい組織と言えるのだろうか。そんな組織から離脱したいと考えるのは当然ではないか。EU自体もイギリスの残留派と同じく非常に感じが悪い。

むしろ、イギリスが離脱し、その他の国の国民からも人気が下がっている現状を直視して、EUの改革の契機とすることこそが必要なことではないだろうか。