雲の中のカラマツ林

三連休を利用して軽井沢に来ている。
昨日、朝の五時過ぎからヤンキースエンゼルスのディビジョンシリーズ第四戦の放送が予定されていたから、早起きをしてBS−1にチャンネルを合わせて待っていたところ、試合は雨天順延になったという字幕がながれた。ヤンキースはピッチャーが厳しいから、休みが入るのは悪いことではない。しかし、一日空いたことで、第五戦のエンゼルスの先発がコロンになる可能性がある。もっとも、もう、そんな小手先のローテーションの問題ではなく、チームの地力の勝負ではないかと思い返す。
気合いを入れて早起きしたせいか、すっかり目が覚めて二度寝できそうにもなかったから、インターネットに接続して、ウェブログの手直しをしたりしているうちに、徐々に外が明るくなってきた。七時頃、家の外に出てみると、まるで雲の中にいるかような朝霧だった。カラマツ林が霧のなかにとけ込んでいくように見える。軽井沢らしい気持ちのよい朝だった。肌寒いけれど、水滴を含んだきれいな空気を思い切り吸い込みたいと思い、ジョギングをすることにした。
この家は浅間山の裾野にあるから、どこに行くにも坂道で、走るにはつらいコースになる。信濃追分の駅の前から1000メートル林道まで駆け上がって力を使い果たし、あとは、歩きに切り替えた。あまりゆっくり歩いていると身体が冷えるので、腕をぶんぶん振りながら早足で歩いた。ふだんは運動といえばジムに行き、プールで泳ぐか、トレッドミルで走るぐらいである。野外で身体を動かすのは単純に気持ちがいい。ジムのではまわりに人がたくさんいて気が散るけれど、霧の中にひとりきりで走っていると自分に集中できる。
小一時間走って家に帰ると、つれあいが起き出してくる。パンと紅茶でかんたんに朝食を済ませて、星野温泉まで行くことにする。軽井沢だと、なんということもない煮物やお茶がおいしいように感じられる。水道水が違うということかもしれない。
昔、星野温泉はテントウムシの絵が書いてある連絡バスを中軽井沢駅から走らせていた。そのころの星野温泉は、なんといえばいいのだろうか、1960年代のユースホステル歌声喫茶的な、「若者文化」の香りが漂っていて、子ども心にちょっと「おダサイ」なあと思っていた。ホテルにはジョン・レノンオノ・ヨーコの写真が飾ってあり、華やかな時代があったのかもしれないが、ややさびれていた。
しかし、ここ数年、星野温泉は計画的にリニューアルを進めて、すっかり現代的になった。今は、いつ行ってもにぎわっている。「とんぼの湯」という外来者向けの温泉施設は、利用料が1200円と少々高いけれど、午前中からけっこう人が集まっている。
お湯から出た後、星野温泉に隣接する軽井沢野鳥の森を散歩した。土の上を歩く感触を楽しむ。「とんぼの湯」それ自体は、こぎれいだけれども、特に、なんの変哲もない温泉施設である。しかし、野鳥の森はなかなか気持ちのよいところで、ここをひと歩きしてから温泉に入るのはなかなか気持ちがいい。
星野温泉を出て、ホームセンターで買い物をし、昼食を食べる。家に帰り着くと、睡魔に襲われ、昼寝をした。気がつくと夕方になっている。これでは、明日も早朝に目が覚めそうだ。