桜と椿

つれあいが昨日まで仕事で忙しかったので、その気分転換も兼ねて、椿山荘まで散歩をして、ブランチを食べて帰ってきた。
筑波大学附属盲学校の校門の脇に早咲きの桜があり、メジロの群れがが花の蜜を吸っていた。写真のメジロは小さくてよく見えないかもしれない。
村上春樹の初期の短編「蛍」のなかに、椿山荘がでてくる。「蛍」は、「ノルウェイの森」の原型になった小説で、これから引用する部分は両方の小説にでてくる。

 その月の終わりに、僕の同居人がインスタント・コーヒーの瓶に入れた蛍をくれた。瓶の中には蛍が一匹と草の葉と見ずが少し入っていた。ふたには細かい空気穴が幾つか開いていた。あたりはまだ明るかったので、それはただの水辺の黒い虫にしか見えなかった。しかしよく見ると、たしかにそれは蛍だった。蛍はつるつるとしたガラスの壁をよじのぼろうとしてはそのたび下に滑り落ちていた。そんなに真近に蛍を見たのは久しぶりだった。
「庭にいたんだよ。近くのホテルが客寄せに話したのがこちらに紛れ込んできたんだね」

この近くのホテルというのが椿山荘のことである。椿山荘の庭園では、毎年蛍狩りのイベントをやっている。まだ小さかった頃、蛍狩りにいったり、プールで泳いだりした思い出がある。今日は久しぶりに、その庭園を歩いてきた。いろいろな種類の桜と椿が植えられていて、満開ではないけれども、そろそろ花をつけていた。
神田川沿いのソメイヨシノのつぼみも膨らんできた。桜の季節ももうすぐである。

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

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ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

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