行政批判

おとといのエントリーで書いたように、以前のような活字中毒ではないけれど、調子のよいときにはぽつぽつと拾い読み程度の読書はしている。最近読んだヘンリー・ミンツバーグの論文集「H.ミンツバーグ経営論」のなかに、行政について書かれた共感できる文章があったので、例によって引用したい。

公共サービスの質は、社会からの期待度に応じて決まる。人々が「政府は成果を上げず、官僚主義に陥っている」と思えば、そのとおりになるだろう。対照的に、「公共サービスは神聖な業務だ」と考えれば、強い政府が生まれるはずだ。
現代の世界では、政府が信頼に足りなければ、その国にとって致命的である。おざなりの政府批判は、このあたりで捨て去るべきではないだろうか。私はカナダ出身で、毎年一定の期間をフランスで過ごすが、この経験からも、政府をただ批判するだけでは、だれの利益にもならないと断言できる。

いまの日本の政府、地方自治体が間違いをおかさないとは思わないし、官僚主義によって非効率的な側面はあると思うけれど、昨今の日本における政府批判は、ミンツバーグが言うように「だれの利益にもならない」ように思われる。
日本の政府、地方自治体は、成長が期待できない限られたリソースで、増大する公共サービスへのニーズに対応しなければならないという難しい局面を迎えている。政府、地方自治体の職員には高い士気が必要だし、国民、地域住民も政府、地方自治体に協力することが必要である。建設的な批判であればよいが、「おざなりの政府批判」はよい結果を生むはずがない。

H. ミンツバーグ経営論

H. ミンツバーグ経営論