全く無用ではあるまい

寺田寅彦の随筆集「柿の種」の序文に次のような一節があった。

……身辺の些事に関するたわいもないフィロソフィーレンや、われながら幼稚な、あるいはいやみな感傷などが主なる基調をなしている。……しかし、これだけ集めてみて、そうしてそれを、そういう一つの全体と客観して見ると、その間に一人の人間を通して見た現代世相の推移の反映のようなものも見られるようである。そういう意味で読んでもらえるものならば、これを上梓するのも全く無用ではあるまいと思った次第である。

寺田寅彦と自分を引き比べるのも恐れ多いが、私がウェブログを書いているのもまったく同じ気持ちである。このウェブログも全く無用ではあるまいと思っている。

柿の種 (岩波文庫)

柿の種 (岩波文庫)