異文化との共存
Podcastで、CNN Anderson Cooper 360 (http://ac360.blogs.cnn.com/) を見ていたら、 911にコーランを焼却するということを宣言しているフロリダの小さな教会の牧師に対し、Anderson Cooperが相当厳しく詰問調のインタビューをやっていた。
「海外に派遣されている海兵隊員や兵士たちが危険にさらされることよりも、コーランを焼却するというパフォーマンスの方が重要と考えているのか、イエスかノーで答えろ」「あなたはコーランを読んだことがあるのか。コーランを読んだことがなければなぜ有害な書物だということがわかるのか」「合衆国憲法で認められている信仰の自由を否定してるのか、イエスかノーで答えろ」
日本でもなかば吊るし上げのようなインタビューはあるけれど情緒的なことが多いが、Anderson Cooperはあくまでもロジカルに追いつめていく。そのインタビュー技術に思わず引き込まれてしまった。
世界で、アメリカ国内で、好き嫌いは抜きにして異文化と共存しなければ生きて行けない状況になっている。それを考えれば、コーランを焼却するという行為は論外であることは間違いない。しかし、グラウンド・ゼロの近くにモスクを建設するという計画について世論調査を行うと、過半数のアメリカ国民は反対という結果がでる。積極的か消極的かの違いはあるけれど、基本的にはイスラムを排除しようとしていることは共通していると思う。コーラン焼却は海面に浮かんだ氷山の頂上であり、海面下には大きな氷の塊があるということなのだろう。
日本でも異文化との摩擦はさまざまな局面で起こっており、これからも摩擦は大きくなることはあっても、小さくなることはないと思う。そんなときに、日本のニュースキャスターは、はっきりと異文化を肯定する立場に立って、異文化との共存を否定する人を問いつめるようなインタビューをするのだろうかと思った。
追記
New York Timesのウェブサイトによると (http://www.nytimes.com/2010/09/10/us/10obama.html?_r=1&hp) コーラン焼却を計画していた Terry Jones 牧師は、コーラン焼却の計画の撤回を宣言し、グラウンド・ゼロの近くに建設を計画しているモスクの移転を合意したと述べた。しかし、モスクの建設責任者は Jones 牧師との話し合いの事実を否定しているとのこと。
コーラン焼却の発端は小さな計画だったのかもしれないが、マスコミに大々的に取り上げられることで、Jones 牧師は勘違いをして、売名行為に走っているということかもしれない。