熱燗
ふと気がつくと、前回の日記から一か月以上経ってしまった。最近は、一月に一回ぐらい集中的に書き込む時期がやってきて、それが終わると、また、一月ぐらいお休みをしている。
アクセスログを見ると、書いていない時期もあまりアクセス数が減っていない。今昔物語の現代語訳で検索してやってくる人が多い。受験シーズン、あの、適当な現代語訳を参考にしているかもしれないと思うと、少々心配になる。
昨日は、都バスに乗って上野に行き、東京都美術館で「ニューヨーク・バーク・コレクション展」を見てきた。目的は、今年の夏、京都で出会った伊藤若冲(id:yagian:20051225#1135520988)を見るためである。
展覧会に出品されていた作品は、メアリ・バークというアメリカのコレクターが収集したもので、縄文土器から江戸時代の絵画まであり、よく言えば幅広く、悪く言うと散漫なコレクションだった。絵巻物の断片が掛け軸に表装されているものもあり、美術館に収蔵されている文化財というより、古美術品というおもむきだった。京都の細見美術館は、細見家が収集したコレクションが展示されているが、趣味の良さという意味では、メアリ・バークより細見家の方が一枚上手のように思う。
江戸時代の絵画では、若冲のものを除けば、酒井抱一の屏風絵、英一蝶の風俗画が気に入った。曾我蕭白は、ねらいすぎに思え、もし、お金があったとしても、買って自分の家に飾りたいとは思わなかった。もっとも、私自身、北斎より広重が好きな、わかりやすくて穏和できれいな絵が好みという、あまり趣味が洗練されていないから、また、別の感想を持つ人もいるかも知れない。
美術館の帰り、上野藪そばに寄って、霰蕎麦と焼海苔で熱燗を一杯やった。普通の菊正宗だったけれど、熱燗の温度がぴったりでおいしかった。