イメージ・プロセッサー

森博嗣ウェブログに触発され、一昨日「代数系と幾何系」というエントリー(id:yagian:20081022:1224655788)を書いた。人は、言語や記号で思考する代数系と、絵やイメージで思考する幾何系に分類できるという話である。
一昨日のエントリーの繰り返しになるが、私は言語で思考している、ビジュアルでの表現が苦手な、典型的な代数系、記号系の人間である。
一方、つれあいはヴィジュアルで思考をしている幾何系、イメージ系の人らしい。そして、頭の中で考えているイメージをなかなかうまく表現することができないから、パソコンスクールに通ってイメージを描く練習をしてみたい、と言っていた。
われわれ記号系は、コンピューター、特に、ワード・プロセッサーによって大きな恩恵を受けている。
手書きではこれほどのスピードで他人でも読むことができる文字を記録することはできないし、いったん書いた文章を自由に修正、校正することもできる。その上、インターネットでは、自分の書いた文章をかんたんに発表することすらできる。
私個人のことを考えても、これだけの文章を書くことは、コンピューターなしではまったく考えることができない。記号系の人間にとっては、大げさにいうと、表現の可能性がコンピューターによって大きく拡大したといっていいだろう。
それに比べ、イメージ系の思考とコンピューターの関係はどうなっているのだろうか。記号系にとってのワード・プロセッサーにあたるイメージ・プロセッサーと呼ぶべきソフトウェアは存在しているのだろうか。
私がコンピューターで図表を扱うときは、Microsoft PowerPointMicrosoft Visio、それとFreeMindを使っている。
PowerPointを使うと、いかにもPowerPointでつくりました、という雰囲気の図表できあがってしまうのがあまり好きではない。しかし、定型からはずれるデザイン力もないし、時間もかかるから、それで我慢している。
Visioは、フローチャートを作るときに重宝している。しかし、フローチャートを作るには適しているが、あまり、自由なイメージによる発想を広げるソフトウェア、という印象はない。また、一般的には普及していないので、自分以外の人に渡して修正してもらうことができないのが欠点である。共同作業をしているときは、PowerPointで図表を作るしかない。
FreeMindは、マインドマップ用のフリーソフトである。私自身が記号系のせいか、マインドマップもヴィジュアル、イメージを使って自由に発想を広げるために使うというよりは、ロジックツリーを作るときの道具として使っている。本来のビジュアル系の思考を助けるソフトウェアとしての機能を十分利用していない。そして、これもVisioと同様、自分だけで作業するにはよいが、共同作業には向かない。
それぞれのソフトウェアには一長一短があって、頭の中にあるイメージを表現するのを手伝ってくれるイメージ・プロセッサーと呼ぶべきものは見当たらないのが現状である。現段階では、イメージ系の思考を表現するのは、手書きのスケッチを超えるものがないのだろうか。
コンピューターを駆使してイメージ的思考を広げている人はどうやっているのか知りたいと思う。