アメリカの理想と欲望
ガブリエル・ギフォード下院議員の狙撃事件で、その原因の一つとなったとしてサラ・ペイリンが批判されている。
アメリカという国は、理想主義と本音が相克している国だと思う(ちなみに、日本は理想主義がなく、本音のみの国である)。
前回の大統領選挙でオバマ大統領が当選したことは、アメリカの理想主義を象徴する出来事だと思う。イラクからの撤退、国民皆保険の実現、核廃絶、グアンタナモ基地の収容所の撤廃(後者二つは実現していないが)などは、アメリカの理想主義的な立場から示された政策である。
一方、ティー・パーティー・ムーブメントやサラ・ペイリンはアメリカの本音を代表している。大統領選挙からわずか二年後の中間選挙では、理想主義に対して本音が声高に主張された。
一外国人の観点から見ると、ティー・パーティー・ムーブメントに代表されるアメリカの本音は少々危険に見える。ガブリエル・ギフォード下院議員の狙撃事件は悲劇だけれども、アメリカが理想主義の側に立ち戻ってくれればいいと思う。
しかし、アメリカは現実を無視して理想主義を海外の国に押し付けることがある。それはそれで、問題であるのだが。