プレーオフに向けて:ニューヨーク・ヤンキースの現状と今後

夏休みを終えて

会社の夏休みが終わり、今日から出社している。

このブログも、語学の学習も、1か月ほど夏休みしていたが、今日からは通常運行に戻ろうと思う。

期待と不安に満ちたシーズン

4月に今シーズンのヤンキースを展望するエントリーのなかで、今年は期待と不安に満ちたシーズンと書いた。まさにそのとおりのシーズンとなり、有望な若手の活躍による躍進に期待を膨らませ、一方で、チームの若さが露呈して連敗に不安になり、という時期を交互に繰り返してきた。ここで、プレーオフに向けて現在のヤンキースの状況を振り返っておきたい。
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プレーオフ進出圏内をキープ

ヤンキースは、昨シーズンの後半アレックス・ロドリゲスが引退して以降、はっきりと若手中心のチームづくりに舵を切った。期待の若手を次々と登用し、そのすべてが活躍した訳ではないけれど、大活躍をした選手もおり、それまでの停滞していたチームの雰囲気が一掃され、ファンとしては実に楽しい時期に入った。

勢いづくと連勝し、歯車が狂うと連敗するというアップダウンが激しいシーズンだが、現在、アメリカン・リーグ東地区2位、プレーオフワイルドカード圏内をキープしている。チームの刷新に着手してから二年目としては上々の成績だと思う。

チームの得点、OPSアストロズに次いでリーグ2位、防御率はインディアンス、レッド・ソックスに次いでリーグ3位である。打線は活発だから印象通りの成績だが、ピッチャーはかなり打たれている印象があり、3点台の防御率でリーグ3位というのはやや以外である。

もう少し細かくチームの状況を見てみよう。

バッティング:若手のすばらしい躍進

バッティングは、アーロン・ジャッジ、ゲイリー・サンチェス、ディディ・グレゴリウスの若手の躍進に尽きる。

ジャッジは、後半戦に入って対策が進んできたこともあり思うように打てなくなっているものの、新人でホームラン王に手が届く位置にいる。

サンチェスは昨シーズンの後半の活躍はすばらしかった。今シーズンは開幕時には怪我で欠場をしており出遅れたが、ここにきてジャッジの不振をカバーする活躍をしている。サンチェスは肩は強いが、キャッチャーとしての守備には疑問がある。我慢をして育てるのか、DHにするのか、いずれ判断すべき時期がくるだろう。

グレゴリウスは、デレク・ジーターの後のショートとして将来を嘱望されていたが、今シーズンはすっかり開花した。守備もよく、思い切りのよいバッティングも長打力を増している。

ジャッジとサンチェスは20歳代前半、グレゴリウスも20歳代で、これから十年以上ヤンキースの主軸を担ってくれるはずだ。また、彼ら三人の他にも、タイラー・オースティン、グレッグ・バード、クリント・フレイザーなど20歳代前半の期待の選手たちもいる。

また、内野のユーティリティ・プレイヤーのロナルド・トレイエスがじつにいい活躍をしている。とにかく守備が機敏でいい。小柄でパワーはないが、しぶといバッティングでいいところでヒットを打っている。プレーオフでもキー・プレイヤーになる予感がする。

そのほか、怪我による選手の入れ替わりもあった。前半戦好調だったスターリンカストロや、チームの支柱となることを期待されて入団したベテランのマット・ホリデーが欠場中だ。しかし、今休んでプレーオフに間に合ってくれれば、期待が膨らむ。

スターター:最大の弱点だが若手にチャンス

シーズン当初から最大の弱点は先発投手だったが、その問題は解消していない。

最大の誤算は田中将大である。ローテーションのなかで唯一信頼できるピッチャーだったはずだが、防御率は4.91と、これまでの2点台から3点台前半の成績から大きく低下した。被ホームランが急増し、ピッチング・フォームで球種を見破られているのではないかと疑っている。ベテランのCCサバシアには大きな期待はできないが、DLに何回も入っている。ピネダはトミー・ジョン手術で今季絶望である。

このような状況で、打線と同様に若手ピッチャーが登用されている。ルイス・セベリーノとジョーダン・モンゴメリーの20歳代前半の二人がローテーションに入った。おそらく、今ではセベリーノが最も信頼できる先発投手になっている。

7月末、トレードでアスレチックスからソニー・グレイを獲得したが、まだ本領発揮までに至っていない。

プレーオフに進出したときには、やはりスターターが弱点になるだろう。オフシーズンには、ダルビッシュ有大谷翔平を取りに行くのだろうか。

ブルペン:メンバーが入れ替わったが充実している

シーズン当初、クローザーのアロディス・チャップマン、デリン・ベタンセス、タイラー・クリッパードと実績もある充実したブルペンだった。しかし、シーズン中盤からクリッパードとチャップマンが打たれて逆転負けをする試合が続き、クリッパードはトレードで放出、チャップマンもクローザーから降格となった。

代わりに、ホワイトソックスからデイヴィッド・ロバートソンとトミー・ケインリーを獲得し、これで再びブルベンは安定した。いいトレードだったと思う。

先発投手の不安定さをブルペンがどれだけカバーできるかがプレーオフのポイントになりそうだ。

監督:我慢とやりくりの采配

不安定な若手とけが人の続出で、ラインナップ、ローテーション、ブルペンは安定しなかった。現在のシーズン当初と、現在ではメンバーは大きく入れ替わっている。連勝もするが、連敗するときもある。

ジラルディ監督は、かなり我慢しながら若手を使っている。明らかにピッチャーとゲイリー・サンチェスをキャッチャーとして使い続けている。不調のジャッジも3番に固定している。一方で、プレーオフの見すえてベテランを休ませているようにも見える。

ここ数シーズン、ジラルディが監督としての能力を見せることができないメンバーだった時期が続いていたが、これからしばらくは彼の我慢とやりくりの采配が問われることになるだろう。

プレーオフの見通し:今年はまずは出場できればよい

シーズン当初、将来に期待ができる若手がでてきて活躍する姿を見ることができればいい、チームの成績は二の次と思っていた。そして、その願いは120%満たされている。

現在、ワイルドカード圏内にいる。なるべくこの順位はキープして、若手にプレーオフを経験してもらいたいと思う。今シーズン、アストロズドジャーズに勝てる戦力、勝負強さまでは備わっていないように見える。今年はまずはプレーオフに出場できればいい。

これからも、まだまだ楽しめそうだ。