代数系と幾何系

森博嗣ウェブログ"MORI LOG ACADEMY"の「文系・理系よりも」(http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2008/10/post_2173.php)というエントリーに共感をした。

……代数は記号を使い式を展開する。幾何は基本として図形がある。僕は、この2つが、人間の文化を分けるようにときどき思う。
 記号の方は、つまり言語も同じで、代数と国語や語学は似ている。また、音楽もこちらに入る。ようするに、記号は音でもあって、つまり聴覚に結びつく。
 一方、図形の方は、やはり絵に直結しているから、図工が同じ分野だと思える。こちらは視覚から発するものだ。

私も文系や理系という分け方は不毛だと思う。自分が理系と文系どちらに入るのかよくわからない。しかし、代数系と幾何系という分類はよく理解できる。森博嗣は自分を幾何系だというが、私は典型的な代数系である。
以前も書いた記憶があるけれども、自分の思考のファースト・アウトプットは言葉である。
最近は資料をパワーポイントで図表化することが求められるが、そのときでも、いきなり図表をスケッチすることはない、というより、うまくできない。まず、思いつくことを箇条書きするところからスタートする。箇条書きの文章の順番を入れ替え、ランクをつけて構造化して、それをもとに図表を作る。(最近は、箇条書きを構造化する作業をマインドマップを使っている。なかなか効率的でいい。)
だから、箇条書きの資料やマインドマップはすぐできあがるけれど、パワーポイントに適した図表の資料を仕上げるのには時間がかかる。
同僚を眺めていると、いきなり図表をスケッチするところからはじめる人がいる。話を聞くと、思考のファースト・アウトプットがイメージ、図だという。まさに幾何系の人である。会議の時に、ホワイトボードにさらさらと図を書き始めるのを眺めていると、自分にはぜったいできないと思う。
コンピューターやインターネットも初期の頃は、もっぱら文字情報の処理に使われていたから、自分のような代数系の人間には非常に適したメディアだった。最近では、どんどんイメージも扱えるようになっているけれど、代数系の自分は、ファースト・アウトプットの言葉を加工してイメージにするのは面倒なため、というより、そもそもできないため、かたくなに言葉だけでどこまで表現できるか試そうと思っている。
念のため付け加えておくけれど、代数系と幾何系という表現はあくまでも比喩である。私が代数系の数学が得意というわけではない。