2012-01-01から1年間の記事一覧

文化的適応放散

英語の方のウェブログ("Everyday Life in Uptown Tokyo" (http://goo.gl/EuVns))に、割りと気に入ったエントリー("Cultural Adaptive Radiation" (http://goo.gl/l2dqc))が書けたので、和訳を転載しようと思う。自分で自分の英語を翻訳しても、翻訳臭がする…

孫正義という政商

私は四階建ての小さなマンションに住んでいるので、輪番制になっている理事会の役員が三年に一回ぐらい回ってくる。前々回は理事長、前回は副理事長、今回は監事をやっている。 このまえ、理事会が開かれた。役員の中に地元の区役所に勤めている人がいて、補…

日本軍の失敗と日本の失敗

「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」を久しぶりに読み返してみた。 ほとんど内容を忘れていたが、思ったより読みやすい本だった。よみやすい分、逆に言えば、ケーススタディは浅く、分析も図式的という印象も受けた。しかし、この本で指摘されている日本軍…

日本人は勤勉だったか

さすがに最近はあまりそのようなことは言われなくなったけれど、かつては「日本人は勤勉だ」というステレオタイプが根強かった。 実際に、高度成長期からバブル期までは就業者の労働時間は他の先進国に比較して長かった。ヨーロッパへの海外出張を計画すると…

リスナーにとってはいい時代になったと思う

四人囃子のベーシストで音楽プロデューサーである佐久間正英が書いたウェブログが反響を呼んでいるようである。「音楽家が音楽を諦める時」 http://masahidesakuma.net/2012/06/post-5.html 「昨夜の投稿の追加文」 http://masahidesakuma.net/2012/06/post-…

K-Popと私

今日の夕食の時、白ワインを飲みながらテレビをザッピングしていた。あいかわらず日本のテレビはおもしろい番組がなくて、KBS-WorldでMusic Bankを見ていた。 あらかじめ断っておくけれど、私はK-Popやその他の韓国の音楽界のことはよく知らないので、これか…

プロジェクトマネジメント入門(というか「お仕事のお作法」)

先週が体調の底だったようで、今週は徐々に上昇してきた。ようやく目先の仕事を片付けることができて、ToDoがとんでもないことになっていた。加速装置のスイッチをいれないと仕事が終わりそうにもないのだが、しかし、こいつを使うとまた倒れるかもしれない…

深海底便り

このブログの目的のひとつは、うつ病の病状の推移を記録することである。しばらくあまり大きな変化がなかったのであまり書くことがなかったけれど、ここ2か月変化があったので記録しておこうと思う。 ここ1年はおおむね好調で、慎重に時間をかけながら抗鬱…

継承すべき伝統とは

川田順造「江戸=東京の下町から 生きられた記憶への旅」を読んだ。 川田順造は、戦前の深川に生まれ育ち、この本のなかでも彼が行なってきた深川のフィールドワークの結果が収録されている。それを読むと、川田順造は、東京は江戸との連続性が破壊されてい…

宗教に入信する信者の心理

前回のエントリー(「鏡としてのオウム真理教」(id:yagian:20120527:1338081114))で宗教について書いた。 しかし、私自身は明確な信仰、信心は持っていないので、正直に言えば宗教の信者の心理についてはよくわからない。生まれ育った家族やコミュニティの…

鏡としてのオウム真理教

昨日、NHKスペシャル「オウム真理教」(http://goo.gl/p6qGX)の前半を見た。オウム真理教は、けっして特殊な存在ではなく、国家や宗教のグロテクスな縮図であり、彼らのことを考えることが国家や宗教を考えることに繋がると思う。 カルトが日本社会を破壊し自…

国家資本主義と自由市場資本主義

しばらく前、「民主制、官僚制、市場機構」(id:yagian:20120515:1337054347)というエントリーを書いた。 なんども繰り返して書いているけれど、3.11以来、原子力発電システムのような巨大システムをどのようにコントロールすべきか、また、民主的な国民国家…

電力自由化と停電リスク

現在、すべての原子力発電所の稼働が停止している。関西電力圏内を中心に夏季のピーク時期には電力不足が懸念されているが、現時点では停電が起きている訳ではない。 世界的に見れば、電力需要の増加に発電施設の増設が追いつかなかったり、送発電施設の更新…

アナキストの悲劇

なんとなく音楽を聴く気分になれず、iPhoneの豊平文庫(http://goo.gl/OWSv)というアプリで青空文庫に収録されている大杉栄の評論、随筆を読んでいた。 少々本題から外れるけれど、豊平文庫はなかなかすぐれものである。iPhoneを買う前、青空文庫はもっぱらウ…

「マニフェスト」は意味があるのか

昨日のエントリー(id:yagian:20120515:1337054347)で、民主的な国民国家における民主制、官僚制、市場機構の関係について考えてみた。 以前から「マニフェスト」には大いに疑問を感じていたのだが、三つの構成要素の役割分担を考えることで、「マニフェスト…

民主制、官僚制、市場機構

福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電のような危険性もはらんだ巨大システムを制御しうる制度はありうるのだろうか、という疑問を持ち、民主制を中心として国家制度に関係する古典的な書籍を読んできた。 今回は、マックス・ウェーバー「権力と支配」…

地方「自治体」じゃないのかね

昨日、NHKを見ていたら、こんなニュースが放送されていた(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120511/k10015061661000.html)。 内容をかいつまんで説明すると、東日本大震災の被災者がアパートなどを借りて入居した場合、申請すれば「みなし仮設住宅」として…

ゲームのおもしろさがわからない

消費者庁が、「ガチャコンプ」に対して禁止要請を出し、これに対してソーシャルゲーム大手企業が「ガチャコンプ」を自粛することになった。 結局、「ガチャコンプ」はいつでもどこでもできるパチスロのようなものだから、なんらかの形で規制が入るのが当然だ…

常識的に考えてみようよ

大飯原子力発電所の再稼働問題についての報道などを見ていると、極論、暴論が多すぎてうんざりする。もう少し常識的にふつうに考えられる人はいないのか、と思ったりする。 まず、エネルギー問題、原子力発電問題については、コストやリスクを伴わない夢のよ…

天皇制民営化論

前回の日記(id:yagian:20120506:1336255010)ではFacebookの宗教欄に書いたけれど、今回は政治的な主義の項目(http://www.facebook.com/yagian/info)をきっかけに書いてみたい。 このウェブログにもしばしば書いているけれど、私の政治的な信条はハイエクに近…

宗教と矛盾

Facebookの自己紹介欄に「宗教」という項目がある(http://www.facebook.com/yagian/info)。別に書かなくてもいいのだけれども、あえて書いた方がおもしろいように思うので、自分の宗教ってなんだろうかとあえて考えてみた。普通の日本人として、私はいわゆる…

「石橋湛山評論集」を読んで

「石橋湛山評論集」を読んだ。 大正から戦後にかけての彼の評論が収録されている。改めて書くこともないが、確かに石橋湛山の主張は大正期から戦後まで一貫している。 大正時代から、彼は一貫して朝鮮、台湾、満州の植民地を放棄すべきとの小日本主義を主張…

日本と保守主義

東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故以来、民主主義ということについて断続的に考えている。その一環として、エドマンド・バーク「フランス革命の省察」を読んだ。今日はその感想について書きたいと思う。 これも以前から何回か書いているけれど、私の…

体調管理

このウェブログを「うつ」のタグで検索して読み返してみると、最悪の時期と比べればいまはずいぶんいい状態になってきたのだなと改めて思う( http://d.hatena.ne.jp/yagian/archive?word=%2A%5B%A4%A6%A4%C4%5D&of=50)。 自分がうつ病だと自覚したのが2007年…

竹森俊平「国策民営の罠」

竹森俊平「国策民営の罠」を読んだ。 竹森俊平は「世界デフレは三度来る」を読んで以来(id:yagian:20080917:1221647196)、まっとうな学者だなと思い、基本的には信頼している。この「国策民営の罠」は、福島第一原子力発電所の事故に際して、なぜこのような…

今も昔も

太平洋戦争で日本が無差別爆撃された理由を知りたくてAmazonから何冊か本を取り寄せた。そのうちの一冊のジョン・ダワー「容赦なき戦争」を読み終わった。正直に言って、重い気持ちになった。 この本で、ジョン・ダワーは太平洋戦争を「人種差別」という観点…

暗い話を聞きたいが 笑って聞いていいのかな

以前もこのテーマについて書いたことがあるけれど、うつ病の人に「がんばれ」と言ってはいけないとよく聞く。 うつ病者としての私の立場から言えば、「がんばれ」という言葉をかけてくれる人は元気づけようを思って言ってくれているということはよくわかるか…

「市場の倫理 統治の倫理」

1. ジェイン・ジェイコブス「市場の倫理 統治の倫理」 ジェイン・ジェイコブス「市場の倫理 統治の倫理」を読了した。 3.11以降、民主主義について考えて続けているけれど、いろいろと示唆に富む内容だった。 この本のエッセンスを強引に要約するとこんな風…

「市場原理主義」と日本

最近、仕事が忙しくてなかなかウェブログを更新することができない。 昨日の金曜日の夜、久しぶりに大学時代の友人と飲み、カラオケに行き、午前様になった。「午前中」はゴロゴロと寝て過ごし、午後は久しぶりにまとまった時間、集中して本を読んでいた。そ…

日本はなぜ無差別爆撃されたのか

NHKで東京大空襲を振り返る番組をやっていた。 客観的に見て、一般市民の大量殺害を企図した作戦を立案し、住宅地を爆撃したという意味では、東京大空襲と広島長崎への原爆投下は、戦争の歴史を振り返っても空前絶後の残虐な行為だと思う。 日本軍による残虐…